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「カエルが消える」
キャサリン・フィリップ 著 長谷川雅美・福山欣司 訳
大月書店
キャサリン・フィリップス著の衝撃的なタイトルの翻訳本『カエルが消える』(原題:TRACKING THE VANISHING FROGS)が出版されたのが1998年。その頃日本でもカエルの減少は言われ始めていたが、むしろ日本ではカエルグッズへの人気が広がりを見せ始めていた頃で、生物のカエルの実態に対する意識は低かった印象がある。
ところが、その後カエルツボカビやラナウイルスといった日本のカエルにも危機をもたらすような病原菌やウイルスが話題になり、その他、自然環境問題的にはカエルがまっ先に影響を受けるような状況も多々確認されるなか、この本の先見性を思い知らされる。
同書は、サイエンスライターである著者がアメリカ西海岸や中米コスタリカを中心に姿を消しつつあるカエルの行方を、その原因究明と保護に立ち向かう研究者たちとともに追いかけた奮戦記である。
地球全体で見るとカエルが減少することになった理由の根はとても深いことがわかり、そしてカエルを愛する人が世界的な規模でさまざまな活動をしていることに勇気づけられる。
カエルはわが身を犠牲にしながら、地球をひとつにつなげようとしているのだろうか…。

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