「プチ哲学」
佐藤雅彦
中央公論新社
中央公論新社
現在慶應大学教授の佐藤雅彦氏は、長く広告界のCMプランナーとして活躍してきた。NECの「バザールでござーる」を初め数々の名作CMを生み出した。今では10年以上前のことになると思うが、氏はその仕事のなかでフジテレビのキャラクターとしてミカエルというカエルを登場させたことがある。ミカエルはニュースキャスターだった。米国のカーミットに匹敵する日本版カエル・ジャーナリストの登場にその後の活躍を期待した人も多かっただろう。この本でも佐藤氏が描くカエルを見ることができる。表紙にもワンポイント的に描かれている。実はこの本はカエルはカエルでもカンガエル(考える)楽しさを伝えるために書かれている。同じ日常的な物事でも視点を換えて考えるだけで全くちがって見えてくる。それをプチ哲学として、自ら描いたイラストで解説している。
登場するのはカエルだけではないが、たとえばカエルのケロちゃんは私たちが日頃「枠組み」からモノを見ていることを教えてくれる。見えない枠からはみだしたときに「偶然性の発見」(それをセレンディピティーという)をすることも教えてくれる。「見る」ことに頼りすぎている私たちが「見えないものを」を見る方法も、「風鈴という道具を使えば、見えないそよ風が美しい音に変換され、部屋の中にいる人でも、風の存在がわかるようになるのです」と、かわいい子ガエルたちのお昼寝の様子を描きながら説明する。「哲学」なのにそれはそれはとてもキュートで、生きていて何か壁のようなものにぶつかったときに、パトス(熱情)で奮い立たせるのもいいが、ロゴス(理性)で静かに乗り切るのもいいなと思わせてくれる一冊。
登場するのはカエルだけではないが、たとえばカエルのケロちゃんは私たちが日頃「枠組み」からモノを見ていることを教えてくれる。見えない枠からはみだしたときに「偶然性の発見」(それをセレンディピティーという)をすることも教えてくれる。「見る」ことに頼りすぎている私たちが「見えないものを」を見る方法も、「風鈴という道具を使えば、見えないそよ風が美しい音に変換され、部屋の中にいる人でも、風の存在がわかるようになるのです」と、かわいい子ガエルたちのお昼寝の様子を描きながら説明する。「哲学」なのにそれはそれはとてもキュートで、生きていて何か壁のようなものにぶつかったときに、パトス(熱情)で奮い立たせるのもいいが、ロゴス(理性)で静かに乗り切るのもいいなと思わせてくれる一冊。
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