「かえるのアパート」
文・佐藤さとる 絵・林 静一
発行:講談社 昭和57年9月28日第1刷発行
発行:講談社 昭和57年9月28日第1刷発行
三輪車に乗った男の子、あっちゃんの前にぴょんと飛び出してきたカエル。そのカエルは言葉を話し、赤と白のしぼりの椿の木の根もとにあるアパートを探しているという。季節はそろそろ冬に向かう頃。そう、カエルは冬眠するためにそのアパートに”入居”したかったのだ。コロポックルシリーズで知られる佐藤さとるのそんな可愛らしいストーリーに、CMの「小梅ちゃん」の絵が印象的な林静一が、奇妙な雰囲気のカエルを描く。断面で表現された、椿の木の下にある「かえるのアパート」に、カエル好きなら思わず”同居”したくなるだろう。
枕と旅行鞄をもったカエルは、人間の言葉まで喋り擬人化されている。しかし、そのストーリーは、野外の蛙が毎年繰り返す生活場所の移動、冬眠する場所が人間によって取り払われると困る蛙の事情などをモチーフに展開する。そして、椿の木(の下のアパート)に象徴される失われた自然も、その椿の子どもが”第二つばき荘”となって寒い季節からカエルを守るように、再生が可能であることを伝えている。
あっちゃんは、第二つばき荘のそばに冬眠明けのカエルのための小さな池がほしいと思う。そうすれば、また会えるから。自然と人間の、そうあればいいのにと思える関係を、日常の中にさり気なく描いた作品である。
枕と旅行鞄をもったカエルは、人間の言葉まで喋り擬人化されている。しかし、そのストーリーは、野外の蛙が毎年繰り返す生活場所の移動、冬眠する場所が人間によって取り払われると困る蛙の事情などをモチーフに展開する。そして、椿の木(の下のアパート)に象徴される失われた自然も、その椿の子どもが”第二つばき荘”となって寒い季節からカエルを守るように、再生が可能であることを伝えている。
あっちゃんは、第二つばき荘のそばに冬眠明けのカエルのための小さな池がほしいと思う。そうすれば、また会えるから。自然と人間の、そうあればいいのにと思える関係を、日常の中にさり気なく描いた作品である。
Copy(C)2011 K&K Ltd.All rights reserved