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「魔女がいっぱい」
ロアルド・ダール 作 清水達也 鶴見敏 訳 クエンティン・ブレイク 絵
評論社
映画化もされて話題になった『チョコレート工場の秘密』をはじめ、独特の奇想天外なストーリーで日本にもファンが多い童話作家のロアルド・ダール。『魔女がいっぱい』は、1983年の作品。イギリスに住んでいた主人公の少年は、母親の実家のあるノルウェーで交通事故に遭い、両親を亡くす。少年は祖母と暮らすようになり、彼女から子どもが大嫌いでその絶滅のために各地で集会を開く魔女たちの話を聞く。そしてイギリスのホテルで実際に魔女たちの集会に遭遇し、少年はネズミにさせられてしまう。ネズミになった少年とおばあちゃんは、魔女の悪だくみを阻止するための戦いを始める。この本でカエルはストーリー展開上大きな意味をもつ存在ではないが、魔女によって姿を変えられた人間であること、また、魔女が子どもをネズミに変える薬をつくるためにカエル汁を加えるあたりは、中世ヨーロッパにおける“カエル観”が現代の作家であるダールのなかに生きているようで興味深い。
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