「カエルの不思議発見」
松井孝爾
講談社
講談社
世の中にはいろいろな種類の動物ごとに、その生き物自体が好きだという人がいるかと思えば、その生き物をモチーフにしたモノや、さらには人間とのかかわりから生まれた文化に興味があるという人もいる。
けれども、たとえばペットで人気の双璧を担うイヌとネコの場合、イヌ派もネコ派もグッズを集めたり、その文化的背景を探ったりということはあまりしないのではないだろうか。一方、縁起物になる動物として最も人気の高いフクロウの場合、今度は逆に、だからと言って生き物のフクロウを飼ったり観察したりする人はあまり多くないような気がする。
前置きが長くなってしまったが、その点カエルほど自然科学的領域と人文科学的領域を行ったり来たりして楽しまれている動物はいないような気がする。
その証拠にこれまで出版されたカエルの文化史に関する名著として、『カエル行状記』(戸木田菊次著/1962年初版)や『ものと人間の文化史 蛙』(碓井益雄著/1989年初版)などが挙げられるが、そのほとんどが自然科学の専門家がその研究の途上でカエルの文化史に興味をもち著したものである。そしてこの『カエルの不思議発見』は、やはり自然科学分野、両生類や爬虫類を専門に研究・執筆活動してきた著者による、基本的には生物のカエルについて実際の観察や体験も踏まえた面白いエピソードを満載した本である。が、著者の好奇心は生物学に止まらず、文化史
まで広がっているせいか、カエルの文化史に興味のある人がむしろそのベースとなるカエルについて生物学的な知識を得るにもとても興味深い本になっている。
カエルが2つの世界を行き来する「両生類」であることの意味は、とても深いと実感させられ、いっそうカエルが好きになること間違いない。
けれども、たとえばペットで人気の双璧を担うイヌとネコの場合、イヌ派もネコ派もグッズを集めたり、その文化的背景を探ったりということはあまりしないのではないだろうか。一方、縁起物になる動物として最も人気の高いフクロウの場合、今度は逆に、だからと言って生き物のフクロウを飼ったり観察したりする人はあまり多くないような気がする。
前置きが長くなってしまったが、その点カエルほど自然科学的領域と人文科学的領域を行ったり来たりして楽しまれている動物はいないような気がする。
その証拠にこれまで出版されたカエルの文化史に関する名著として、『カエル行状記』(戸木田菊次著/1962年初版)や『ものと人間の文化史 蛙』(碓井益雄著/1989年初版)などが挙げられるが、そのほとんどが自然科学の専門家がその研究の途上でカエルの文化史に興味をもち著したものである。そしてこの『カエルの不思議発見』は、やはり自然科学分野、両生類や爬虫類を専門に研究・執筆活動してきた著者による、基本的には生物のカエルについて実際の観察や体験も踏まえた面白いエピソードを満載した本である。が、著者の好奇心は生物学に止まらず、文化史
まで広がっているせいか、カエルの文化史に興味のある人がむしろそのベースとなるカエルについて生物学的な知識を得るにもとても興味深い本になっている。
カエルが2つの世界を行き来する「両生類」であることの意味は、とても深いと実感させられ、いっそうカエルが好きになること間違いない。
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